明るい未来を目指し、次世代を支援

公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATION
設立者/Founder 川尻征司
https://www.kawajiri-foundation.org/
世界を経験して見えた課題
数ある奨学基金団体の中、経済学部に特化した奨学金を給付しているのが公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATION。設立者の川尻征司氏は「一人ひとりの才能や夢、目標を具体的に引き出し、日本社会にいかに還元できるかという点を意識しながら、学生たちに向き合っています」と語る。
幼い頃から、不公平の存在や、夢を諦めなければいけない人がいる現実に疑問を抱いてきた川尻氏。特に学生時代、学び続けたいにもかかわらず、経済的な理由から断念せざるを得ない仲間を目の当たりにしたことが同財団設立に大きく影響した。「そのような現実がある以上、私が仕組みを変える側に立つことが重要だと考えました。社会人として数多くの挑戦を経験してきたからこそ、世界中で学んだことの全てを”誰かの未来の扉を開く力”に変えていきたい。その想いから同財団を設立しました」と話す。
教育と国の発展は互いに切り離せない。数多くの国々を見てきたからこそ、川尻氏は世界における日本の立ち位置を見つめてきた。「先進国の中には、シンクタンクや研究所など、国益になる領域に積極的に投資をする国も少なくありません。一方、日本の投資のあり方は、他の先進国と比較すると課題が多いように感じます。だからこそ、当財団の取り組みを積極的に発信していきたい」という。
世界を経験したことで浮き彫りにされた日本の教育課題。川尻氏は現状について複数の問題点を指摘する。「一点目は奨学金。主に給付型と貸与型がありますが、後者は社会人になってからも返済に追われるため、仕組み自体を見直す余地が十分にあると考えています。少子高齢社会で子どもの数が減っている一方、割り当てられる教育財政資金は依然として少ないまま。教育は未来への投資であり、いずれ国益として還元されるはずなので、より着目されるべきだと考えています」と語る。
グローバル化が進む現代。教育もまた国際的な競争力を高める一因となる。「二点目に教育における国際化の促進。このような時代だからこそ、交換留学などを通じて海外とのつながりを強めていくべきだと感じます。つまり、国際交流的な教育のシステム構築です。日本人学生が海外に出るだけでなく、海外から来日を希望する学生も決して少なくはないでしょう。そのような国際的な教育もまた、日本の未来を紡ぐ助けになるはずです」という。
さらに、教育の先、ビジネスについても川尻氏は想いを馳せる。「三点目は開かれたビジネスの構築。例えば、アメリカではAppleの『Apple Park Visitor Center』やGoogleの『Google Gradient Canopy』など、一般の方が見学できる施設があります。このように、ビジネスをより開かれたものにすることで、子どもたちが将来についてイメージを膨らませることができる上、発想を磨くことにつながるでしょう。若い世代に将来像を描いてもらうためにも、ビジネスがより開放的な方向に進んでくれることを願っています」と話す。

アートでつながる人々、そして世界
川尻氏の取り組みは経済学部生への奨学金給付に留まらない。川尻氏はアートを「人と人をつなぐ普遍的な言語」と形容し、関心を寄せている。
「私自身、アート領域で活躍する会社とタッグを組み、『DANDELION PROJECT』に携わっています。コンセプトは世界中に花を届けること。息を吹くと映像で花びらが世界中に渡るという素敵なコンセプトに共感し、支援させていただいています。このプロジェクトを通し、平和というメッセージを伝えていくというテーマも魅力的だったのです」と説明する。
加えて、「tHE GALLERY HARAJUKU」「tHE GALLERY OMOTESANDO」への支援も川尻氏の理念を実現する取り組みとして特徴的だ。「これは有名なアーティストではなく、美術大学の作家やアーティストたちのサポートとして位置付けています。彼らは非常に素敵な作品をつくる一方、制作アトリエや展示を行う場所がない悩みも多々。そのため、作品づくりに集中できるような場を私が積極的に提供しています」という。未来の芸術家を支援するためには資金は切り離せない問題。アートの領域においても未来を築くために、川尻氏は積極的に活動している。
今回のビジョナリー賞受賞が同財団にとってもつ意味とは。「この受賞は『支援を受けて挑戦する人々』に光を当ててくれたと考えています。つまり、学生たちの可能性が社会的に認められたことにこそ大きな意味がある。この機会を追い風として、さらに多くの若者やアーティストが挑戦できる舞台を用意していきたいです」と力を込める川尻氏。
さらに、「イノベーションは完璧な計画からではなく、『燃えるような想い』から生まれるもの。また、目標を達成するためには一人だけではなく、仲間の力が必要な時もあるでしょう。だからこそ、チームビルディングを意識しつつ、自分たちにしかない強みを世に伝えていくことが大事です。信じる仲間とともに一歩を踏み出せば、その一歩は必ず未来を変える。私はそう確信しています」と力強く語る。「次の世代とともに未来を創るプラットフォーム」として多くの若者を支援する同財団。川尻氏の挑戦は、今後も続いていく。

プロフィール
大手美容室チェーンでキャリアを積んだ後、東南アジアにてビジネスをスタート。海外や日本のスタートアップベンチャーなどに投資活動をしながら、事前活動家として多方面で活躍。2022年、公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATIONを設立。