Givers Gain®の理念を胸に、日本経済の発展に貢献

2025.12.01

JBNインターナショナル株式会社
代表取締役/ BNIナショナルディレクター 大野真徳
https://bni.jp/ja/index

イギリスで出会った“与える哲学”

異文化の価値を見出し、国境を越えて新たな市場を切り拓いてきた経営者に贈られる「グローバルグロース賞」に、JBNインターナショナル株式会社の代表取締役 兼 BNIナショナルディレクター、大野真徳氏が選ばれた。大野氏は、世界最大規模の会員制ビジネス交流組織「BNI(Business Network International)」の日本における展開を担い、日本経済の発展に貢献してきた人物だ。

BNIは1985年にアメリカで創立された、経営者や事業者が新たな顧客やビジネスの機会を得るためのコミュニティーである。その活動理念は「Givers Gain®(ギバーズ・ゲイン=与える者は与えられる)」。会員は「チャプター」と呼ばれるグループに所属し、互いにビジネスにつながる推薦や紹介「リファーラル」を提供し合う。

大野氏がBNIと出会ったのは2002年。イギリスでビジネスパートナーとともにインターネットサービス会社を設立し、売上拡大のために多くの異業種交流会へ参加していた頃のことだった。一般的な異業種交流会は、売り手と買い手のマッチングの場というより、自社の商品やサービスを売り込む場として利用される傾向が強い。そうした中で参加したBNIの説明会で、大野氏は会員たちの振る舞いに驚きを覚えたという。

「ある会員に『How can I help you?(どうしたらあなたのお役に立てますか?)』と尋ねられたのです。これまでの交流会では、自分の話ばかりする経営者がほとんどでした。まず他者に価値を与えることで、結果的に自分にも利益や信頼が返ってくる。BNIの理念であるGivers Gain®の考え方に触れ、深い感銘を受けて入会を決意しました」と大野氏は振り返る。

入会から約1年後、大野氏の会社の売上の大部分がチャプターメンバーからの紹介によって支えられるようになった。BNIの持つ力を実感した大野氏は、当時まだ日本に進出していなかったBNIの日本事務局の運営を自ら申し出る。2006年、BNI Global, LLC社からライセンス供与を受け、BNI34か国目の拠点として日本事務局の運営を正式に開始した。

誤解を超えて、さらなる規模拡大へ

BNIの理念であり、大野氏の心を打った「Givers Gain®」の精神は、日本の価値観でいうところの「先義後利」と通じる。先義後利とは「まず義(道徳や正しい行い)を優先し、その後に利(利益)が伴う」という儒教に基づく言葉で、日本では古くから商人の心得として重んじられてきた。そのため、BNIの理念は日本でも比較的受け入れられやすかったという。

一方で、理念を徹底して共有する組織文化に戸惑う人も少なくなかった。「立ち上げ当初は『BNIは宗教団体と関係があるのですか?』と聞かれることもたびたびありました。『そんなことはありません』と説明しても、信じてもらえないこともありましたね」と大野氏は苦笑する。しかし、時間とともに誤解は解け、活動の意義を丁寧に伝えるうちに理解が広がった。現在では全国に380チャプター、12,000人を超えるメンバーを擁するまでに成長している。

「チャプターのメンバーは定期的に顔を合わせるので、まるで部活動のような一体感が生まれます。20年来のメンバーが今も続けてくれたり『BNIに出会っていなかったらと思うとゾッとする』と言ってくれたりする方もいて、本当に励みになります」と大野氏は微笑む。

メンバーの増加に伴い、新たなビジネスのつながりも生まれた。例えば中国が2021年から害虫検出を理由に台湾産パイナップルの輸入を禁止した際、輸出先を失った台湾の生産者の中にBNIメンバーがいた。そのメンバーが日本のBNI会員とつながり、新たな販路を確保できたという。

BNIという仕組みを通じて日本企業を支えてきた大野氏だが、日本での広がりは想定よりも緩やかだと感じている。その要因を、BtoB型フランチャイズが日本ではまだ馴染みがないことだと分析する。BNIはアメリカ本部が開発した仕組みをもとに、地域オーナーが運営するフランチャイズ型の交流組織だが、日本では「フランチャイズ=BtoC」というイメージが強い。

そこで大野氏は、これまでのノウハウを活かし、BNIに加えて3つのグローバルフランチャイズ事業を展開。年商5億円以上の企業役員を対象としたビジネスコミュニティー、経費削減を支援するコンサル事業、事業売却・M&A支援など、会員の多様なニーズに応える体制を整え、国内15万人規模への拡大を目指している。

「自社の売上のためというより、経営者である会員の皆様に、BNIの価値を最大限に感じてもらえるようにするためです」と語る大野氏。その姿勢はまさにGivers Gain®の精神を体現している。大野氏の歩みに触発された多くの会員が、今後も新たなビジネスチャンスを掴んでいくことだろう。

プロフィール

1965年千葉県生まれ。立教大学法学部卒。欧米大手証券業界にて14年間勤務。95年ロンドンに赴任。2002年に退社後、当時の同僚らと英国でインターネットサービス会社を設立。営業活動の一環としてBNIに参加し、リファーラル・マーケティングの威力を自ら体験。日本の経営者や事業者にも紹介したいという想いを胸に、2006年日本に帰国。現在は、JBNインターナショナル株式会社の代表取締役 兼 BNIナショナルディレクターを務める傍ら、BNIの姉妹ブランドであるコーポレートコネクションズやその他の事業会社を束ねるホールディング会社を設立し、そのCEOも兼務。グループでBNIを含む4つのグローバルフランチャイズブランドを日本で展開している。